縫製の価値と仕事への誇りを高めるインナーブランディングで、“選ばれる”縫製工場へ
プロジェクト概要
ダイナンは、大分県大分市にある縫製会社だ。有名ブランドの仕事を数多く手掛け、サンプルづくりから裁断、刺しゅう、プリント、縫製、納品まで、一貫して生産できるシステムを備えている。1972年の創業以来、BtoB事業のみの展開だが、現在はBtoC向けの自社ブランドの立ち上げなども計画中。それに向けた取り組みのひとつとして、CIを刷新。GRAPHはブランディングを担当し、理念やスローガン、クレドの作成をはじめ、ロゴやウェブサイトのリニューアルなども行った。
https://www.dainan-oita.co.jp/
https://www.dainan-oita.co.jp/sewing/
課題
- 当初の依頼は、BtoC向けに立ち上げる自社ブランドのロゴマークのデザインだったが、社員の方々にヒアリングを実施したところ、理念や自社の価値などが明文化・共有されておらず、インナーブランディングの必要性があった。
GRAPHからの提案
- ダイナンが大切にしていることや、縫製の仕事の価値、魅力、やりがいなど、社員のヒアリングを基に、言語化することを提案した。
- 社員が主体的に取り組むために、プロジェクトチームを発足。定例会を経て、理念やスローガン、クレドなどを作成した。コーポレートのロゴとウェブサイトも刷新。採用情報や、新興ブランド向けのサービス「縫製のおてつだい」のページも充実させた。
- ダイナン社員が放つ“朗らかで柔らかい空気感”と、布を縫って着々と完成品へと仕上げていく“芯の強さ”をモチーフに、コーポレートのロゴをデザイン。丸みを持たせながら、ディテールの一部はシャープな造形にした。また、宝石「ターコイズ」や大分の大自然から着想を得た青色を「ダイナンブルー」と名付け、コーポレートカラーに設定した。
- 社員休憩スペースを「大広間」としてリニューアル。大勢の人が集まった上で一人ひとりが思い思いに過ごせるような「包容力のある空間」に仕上げた。
- 社員のユニフォームを制作。重要無形文化財である久留米絣でオリジナルの生地を作るところからスタートし、ものづくりの工程への理解を深めることができた。
結果
- 会社の思いや縫製の価値がクレドという形で言語化され、唱和する習慣ができたことで、社員への浸透につながった。ブランディングについての社員アンケートでは、「やりがいを感じたり、誇りを持てるようになった」という意見が多数上がった。
- 大広間を活用した交流イベントの開催など、コミュニケーションの機会が増えた。また、働き方やユニフォームに対する改善案など、社員から自発的な意見が活発に出るようになった。
- ウェブサイトや会社案内の内容に共感した採用希望者が増加。縫製業界としては異例ながら、国内ハイブランドのデザイナーから指名される機会もあり、ブランドとの直接取引が増加した。
スタッフクレジット
村部悠蔵 / 吉本雅俊 / 榎本ちひろ