1ページでわかるGRAPHのこと

古くならないロゴマークはブランドの資産。社員の一体感醸成に寄与し続ける

プロジェクト概要

ヨドプレは、兵庫県加西市に本社を構える建築資材のメーカーだ。住宅建築資材の木材をあらかじめ工場で切断したり、接合部を加工したりするプレカット事業を中心に、住宅資材販売や太陽光システム販売・設計サポート、建築事業などを展開している。GRAPHは、ブランディングを担当。ヨドプレという社名のネーミングをはじめ、ロゴマークや名刺、封筒、ユニフォームなどトータルでデザインを手掛けた。

課題

  • ヨドプレの前身「株式会社 淀川プレカット」の業績は堅調だったが、創業のきっかけとなった会社が経営破綻したことで自社の企業イメージが悪化。心機一転リスタートすることを社内外に発信していくために、社名変更を含め、GRAPHにブランディングの相談があった。
  • プレカット事業に加え、住宅にまつわるサービスの提供など、新規の付加価値事業に取り組むことも視野に入れていた。
  • 「新しい器となる会社をつくりたい」という願いの基、デザインの提供だけではなく、社員にその価値を伝えてほしいというリクエストがあった。

GRAPHからの提案

  • 淀川プレカット時代のルーツを残しつつ、プレカット以外の事業を展開しても違和感がない「変わりすぎない社名」を検討。社員が当時、自社のことを略して「ヨドプレ」と呼んでいたことから、それを社名にすることを提案した。
  • 鋭利な刃による切れ味の良さや、木材を正確にカットして資材に仕上げる高精度な技術と品質の高さなど、工場見学したときに感じた印象を基に、ロゴマークをデザインした。右肩あがりの斜めのラインは、事業の発展をイメージしたものだ。
  • 名刺をはじめ、封筒や伝票などの事務用品だけでなく、サインや看板なども制作。作業着やヘルメット、営業車などにも新ロゴマークをあしらい、一新した。
  • ヨドプレが主体となってブランディングに取り組み続けるために、GRAPHが勉強会を企画した。社内でプロジェクトチームを発足し、デザインの意図や運用方法など共有。勉強会は毎週1回、1年間実施した。

結果

  • 社名変更後、取引先や建築家などから、新社名やロゴマークの意図について聞かれるなど、今までになかったコミュニケーションを生みだした。ブランディングの効果を社員自ら感じることができ、あらためて自社について考えたり、ロゴマークに愛着を持ったりするきっかけにもなっている。
  • ブランディングの勉強会は、社内のデザインに対する意識を高めるきっかけになり、ブランディングを自走していく後押しとなった

スタッフクレジット

北川一成 / 村部悠蔵

クライアントインタビュー

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濱根雅一郎氏

ヨドプレ株式会社
取締役 尾道支店 支店長

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永指政樹氏

ヨドプレ株式会社
管理本部 部長

            

Q: ロゴマークを最初に見た印象は。

(濱根)第一印象は、今まで見たことがない唯一無二なデザインだと思いました。ほとんど黒に見える紺色で、マークは線のみ。エッジの効いたL字型のマークの縦と横のラインはわずかに離れています。一見すると抽象的なデザインですが、工場で見たプレカット技術の精度の高さや、木造建築の強度などに対するイメージがベースになっていると北川(一成)さんは説明してくれました。直感的でありながら独自の理論もあって、面白いと思ったのを覚えています。

Q: デザインに期待したことは。

(濱根)業績は堅調でしたが、破綻した会社との関係を揶揄されるような時期だったので、ピンチをチャンスに生かしたいと思っていました。ブランディングに取り組むのは初めてだったので、社員が自分事化できるように勉強会を企画してくれたのは、とても有り難かった。GRAPHの村部(悠蔵)さんとともに、1年にわたって実施しました。おかげで、社員が一致団結して新たな気持ちでリスタートを切ることができました。インナーの意識を高めることにつながったのは、ブランディングに取り組んで良かったことのひとつです。

(永指)営業車にロゴマークのステッカーを貼っているのですが、その位置も指定されています。なぜ、その位置なのか。そういった細かいマニュアルも社員自ら共有し、今も受け継がれていますね。

Q: プロジェクトメンバーは、どういった部署の方が何名くらいで構成されていたのですか。

(濱根)村部さんからのアドバイスもあって、コアメンバーは5、6名くらい。テーマによって参加する社員もいたので、全部で25名ほどいたと思います。部署も偏らないように、さまざまな職種の社員に声を掛けました。

Q: デザインは、費用対効果を出しづらい側面があります。そのことに懸念はなかったですか。

(濱根)たしかにロゴマークが新しくなっても、それだけで何か大きく変わるわけではありません。予算をかけて開発し、自分たちも納得できる優れたデザインだからこそ、活用しようという意識も高まりました。

独自性が強く、どこに出しても恥ずかしくない自慢のロゴマークだからこそ、私たちの背筋が伸びるんです。技術が落ちたりミスがあったりするなど、行動が伴わなければ、逆に目立ってしまって格好悪いですからね。

(永指)ロゴマークは、いつもそばにある、見守ってくれているような存在です。1990年に創業し、2005年にヨドプレへ社名変更。2011年からはOCHIホールディングスのグループ会社となり、木材加工部門をけん引する存在になりました。そんなルーツを振り返るきっかけにもなるように、公式ホームページにロゴマークを紹介するコーナーを設けました。

北川さんにデザインしてもらったロゴマークをはじめ、さまざまなツール類は、ヨドプレにとって、コミュニケーションのための大切な資産です。それを次世代の社員にどう伝えて、活用していくか。今はそのフェーズだと思っています。

分析

2005年に誕生したヨドプレのロゴマークは、2022年の今も、鮮度を保ち続けている。ヨドプレらしさを北川独自のフィルターを通して表現したデザインは、ほどよく抽象的で、意図を限定しすぎない。色々な見方が可能で、人や時代の空気に順応することができる。そんなアートのような感覚的な表現であることが、古くならない要因だ。

ヨドプレのプレカット技術を抽象化した「直線的」なマークに対して、ロゴは、濁点と半濁点に特徴がある「丸み」のあるデザインだ。鋭さと温かみが混在するロゴマークは、高精度な加工と生産能力を保ちながら、人間味のある優れた対応力も持ち合わせるヨドプレそのものだ。独創的だけど、実は本質的。だから、愛着を持つことができる。ヨドプレらしさとは何か。それを考え続けるための旗印として、ロゴマークはこれからも機能し続けていくだろう。

編集・執筆:西山薫(デザインライター)