プロジェクト概要

茶室ニゴウは、不動産会社のレッドテックが2022年6月、東京・浅草に開業した飲食店だ。同社が運営する茶室をテーマにした宿泊施設、茶室ryokan asakusa(チャシツリョカン アサクサ)の2号店という位置付けで、いなり寿司と土瓶蒸しなどの和食をナチュラルワインや日本酒とともに提供している。GRAPHは、ブランディングを担当。ネーミングをはじめ、ロゴマークやオリジナルグッズのデザイン、内装などのアートディレクションも手掛けた。

課題

  • 浅草は、観光地化が進んでいる。本来、浅草が内包している“猥雑さ”や“江戸情緒”が薄れつつあり、それらの伝承をコンセプトにした店舗をつくりたい。
  • 茶室ryokan asakusaの宿泊客をはじめ、観光客や地元の人も気軽に立ち寄ることができ、ディープな浅草をカジュアルに楽しめるコミュニケーションの場にもしたい。

GRAPHからの提案

  • 茶室ryokan asakusaの2号店にちなみ、洒落や猥雑さも想起させる「ニゴウ」という名称を提案。意味を限定しないカタカナ表記にすることで、思考する余地ができる。その引っかかりによって、記憶に残りやすくなると考えた。
  • 茶室ニゴウのマークは、一期一会の精神=「今」をモチーフにした茶室ryokan asakusaと同じシルエット。下町の酒場らしさを醸し出すために、歓楽街のネオンサインのようなピンクとグリーンを重ねた。
  • 店舗設計は、G ARCHITECTS STUDIOの田中亮平氏が担当。空間デザインは、マークの世界観を基に田中氏とともに考案した。ピンクとグリーンをアクセントカラーとして大胆に使用し、飲食店の概念にとらわれない、空間自体がアートとなる店舗をつくりあげた。
  • 店舗で使用する茶碗やグラス、おちょこなどの備品にはオリジナルの絵柄を入れ、グッズとしても販売することを提案。北川が選定した絵柄のモチーフは、京都・伏見の酒蔵「増田德兵衞商店」の所蔵品、宮武外骨(明治から昭和にかけて活躍した反骨・反権力のジャーナリスト)の貴重なコレクション。コンセプトを色濃く発信できる絵柄を選び、キャッチーに仕立てた。
  • オリジナルの浅草マップも制作。国内外の観光客に立ち寄ってもらえるように、観光案内所という機能も持たせた。コミュニケーションが生まれ、様々なカルチャーを発信する場にもなるように、ギャラリーとして活用していくことも提案した。

 

撮影:志摩大輔

スタッフクレジット

北川一成 / 八戸藍 / 山田晴香