追いこうじみそ
ハナマルキ株式会社
記憶に残るデザインとプロモーションの掛け算が奏功。出荷量は想定の約1.5倍に
プロジェクト概要
ハナマルキの「無添加減塩 追いこうじみそ」は、熟成させた味噌にさらに「こうじ」を追加し、再び熟成させる「追いこうじ製法」で仕込んだ味噌だ。「追いこうじ製法」は、70年前からある伝統技術。「減塩」とさらなる「おいしさ」の両立を目指し、同社の職人が現代の技術で約50年ぶりに復活させた。GRAPHはブランディングを手掛け、パッケージデザインをはじめ、新聞広告やテレビCMの企画、ホームページのディレクションなど担当している。
追いこうじみそブランドサイト
課題
- 味噌のパッケージといえば、筆文字を使った古風なデザインが主流だ。だが、ライフスタイルの変化と共に、味噌汁を飲む頻度や味噌の選び方は多様化しており、それに見合ったデザインやコミュニケーションを展開すべきだと考えた。
GRAPHからの提案
- 「毎日、味噌汁は飲まないからこそ、質の高い味噌が欲しい」「冷蔵庫の中もオシャレにしたい」など、品質はもちろん、パッケージデザインにも関心が高い、30代から40代を中心とした新たな顧客の獲得を目指すことを提案。それに伴い、パッケージをはじめ、Webサイトや新聞広告など、従来の味噌のイメージにとらわれないシンプルで現代的なデザインで統一した。
- 若い世代と味噌の距離感を縮める施策として、日常生活に「追いこうじみそ」がとけ込むシュールな写真が撮影できるWEB ARをBASSDRUMと企画・制作した。
- テレビCMは、CMプランナーの山崎隆明氏と共に制作。商品パッケージのコピーライティングは、国井美果氏が担当した。
結果
テレビCMの放映後、売れ行きが如実に伸長。目標の1.5倍の出荷量となっている。
スタッフクレジット
北川一成 / 八戸藍 / 榎本ちひろ
お客様インタビュー

平田伸行氏
ハナマルキ株式会社
取締役 マーケティング部長兼広報宣伝室長
Q: 味噌のパッケージでは珍しい、シズルのないデザインが特徴です。採用の経緯を教えてください。
追いこうじみそは、「追いこうじ」という昔の製法を今の技術で復活させた味わい深い個性的な商品です。だからこそ、商品の見せ方も工夫する必要があると思っていました。私たちは「他社のまねではない、独創的な商品で差異化を図る」という方針があり、商品のプロモーションについても同様の考えです。
GRAPHさんから提案されたデザインを見たとき、最初は少し驚きました。いわゆる味噌らしくないデザインで、ユーザー調査では最下位。社内でも賛否両論あったのは事実です。
ただ、比較した他のパッケージの中で、GRAPHさんの案が一番目を引きました。「発酵でおいしく きれい」というコピーのピンク色の文字もアクセントになっていて、シンプルですが一度見ると、忘れられない強さがあります。
様々な意見がありましたが、良くも悪くも驚くほどの存在感があるほうが商品の価値が伝わると考え、採用を決断しました。
Q: 想定よりも売れているそうですね。その要因は何だと思いますか。
まず、店舗への導入をはじめ、営業戦略がうまくいっています。サンプリングにも注力し、その効果もあったと思います。一番手応えがあったのは、テレビCMです。
追いこうじみそは放映後、売り上げが顕著に伸びました。
テレビCMもGRAPHさんにお願いしたのは、パッケージと同じ世界観で統一すべきだと考えからです。その表現も斬新で、お椀に入った味噌汁が出てきません。最初から最後まで、パッケージに入ったまま冷蔵庫の中のシーンのみ。常識にとらわれない表現だからこそ、今までの生味噌とは違う新商品であることが、生活者の方々に伝わったのだと思います。
追いこうじみそは、生味噌の柱となる可能性に満ちた商品です。これからも、GRAPHさんにも協力していただきながら、大切に育てていきたいと思っています。
分析
最新の脳知神経科学では、既知のものや類似した情報を見たとき、人はこれまでの記憶と照らし合わせて反射的に削除する「内部モデル」という脳の仕組みがあると言われている。つまり、追いこうじみそは味噌らしくないパッケージだからこそ、人の記憶に残りやすいと考えられる。
今回、テレビCMを制作した。サンプリングのプロモーションも注力し、ユーザーは追いこうじみそを使った料理と、パッケージ入りの写真をSNSに投稿していた。追いこうじみそのパッケージをテレビやSNSで何気なく見かけた人も、無意識に記憶されていた可能性がある。そして、数多くの味噌が並ぶ店頭で、「あのCMの商品だ」「Twitterで見たあの料理の味噌だ」と記憶がよみがえった人は少なくなかったはずだ。
特にテレビCMの放映後、小売店での売り上げが顕著に伸長。出荷量も想定の1.5倍だという。人の性質を踏まえデザインを考案している北川にとっては、狙い通りの結果とも言えるだろう。文字を並べただけの簡素なデザインのようだが、要素を分解すると、その緻密さに驚く。それはGRAPHのデザインやものづくり、全てに共通していることだ。