アルコール対策サプリ“らしくない”デザインで競合商品と差異化。累計販売数400万個*を突破、ヒット商品に

プロジェクト概要

スパリブは、アルコール代謝酵素をサポートする成分と、二日酔いなどの原因物質のアセトアルデヒドを中和する抗酸化成分の両方を含んだサプリメントだ。抗酸化研究を専門とする医学博士の犬房春彦氏が7年かけて開発。2010年に発売を開始し、2012年にブランディングの一環としてパッケージデザインのリニューアルを実施した。

課題

  • 高いアルコール分解効果を持つ画期的なサプリメントであることが、パッケージから伝わっていなかった。
  • 競合商品よりも価格は高めだが、むしろ安価に見えた。
  • 広告宣伝費に掛けられる予算が限られていた。

GRAPHからの提案

  • 「アルコール対策サプリを人前で飲む=大酒飲みだと思われると恥ずかしいと感じる」という女性の心理に着目。競合商品のメインターゲットは男性のビジネスパーソンだが、スパリブは女性が持っていても違和感のないデザインにすることで、競合商品との差異化を図った。
  • 知的財産であるデザインを守るために、まねされにくい印刷・加工を採用。
  • 効果を実感してもらうために、お酒がふるまわれる場でサンプリング。

結果

  • 2013年から全国のファミリーマートでの販売が始まり、AmazonやYahoo!、楽天のほか、中国のECサイトbolome(ボロミー)など、販路は拡大している。
  • リニューアル後の売れ行きは好調で、累計販売数は400万個(1回3粒換算)を突破した。

スタッフクレジット

北川一成/錢亀正佳

クライアントインタビュー

profile_InufusaHaruhiko

犬房春彦氏
医師・医学博士
TIMA Tokyo会長
岐阜大学・科学研究基盤センター・共同研究講座・抗酸化研究部門特任教授

Q: GRAPHとの出会いとリニューアルのきっかけは。

増田德兵衞商店さんが主催された「月の桂」の試飲会の席で、北川さんとご一緒させていただきました。そのとき、既に北川さんはスパリブの存在を知っていて、効果も実感されていた。それを踏まえて「治験のデータもあって効果が証明された商品であることがパッケージからは伝わってこない。デザインのアプローチを変えることで解決できるので提案したい」と言ってくださった。それがリニューアルのきっかけです。

Q: 提案されたデザインを見たときの感想は。

最初は、ちょっとお洒落すぎるような気がしました。北川さんはそれに対して、「スパリブはきっと100年後にも存在するので、未来でも通用するスタンダードなデザインにした」と説明してくれたんです。それを聞いて、納得できた。普遍的で高級感もあり、スパリブの価値をアピールできると考え、採用しました。

Q: 売れ行きは好調だそうですね。

競合商品のようにテレビCMを展開せず、これまで一度も大々的なプロモーションは行っていません。サンプリングの効果もあり、お酒を飲む機会が多い経営者や著名人の間で評判となり、口コミで広がっていきました。それは、スパリブの効き目を実感していただけたからだと思っています。芸能人の方が自主的にテレビで紹介してくれたこともあり、ファンが多い商品なんです。ファミリーマートでの取り扱いが始まったのも、先方から声を掛けていただいたことがきっけでした。

リピーターも多く、スパリブの公式通販サイトでは、定期便の利用者も順調に伸びています。現在はハワイのホテル内にあるローソンのほか、中国のECサイト・ボロミーでも販売しています。特に、中国での売り上げが好調です。

分析

購入するときも、箱からサプリメントを出して飲むときも恥ずかしくない――スパリブは、特定のシズル感を出さないスタンダードなデザインによって、競合商品にはない「新しいユーザー体験」をもたらしている。それが、顧客層を広げ、売り上げを伸ばしている理由の一つだ。

ブランディングのプロセス

スパリブは、アルコール代謝酵素をサポートする成分と、二日酔いなどの原因物質のアセトアルデヒドを中和する抗酸化成分の両方を含んだ粒状のサプリメントである。治験のエビデンスデータもあり、効果が証明されている画期的な商品だ。

競合商品は、男性のビジネスパーソンをメインターゲットとするウコン入りなどのドリンク剤であるが、それらとは原材料も効果の高さも全く異なる。しかし、リニューアル前のパッケージは、競合商品に合わせたようなデザインで、スパリブの価値が直感的に伝わるものではなかった。しかも、競合よりも価格は若干高いが、むしろ安価に見えるという問題もあった。

works_supaliv_before_01
リニューアル前のスパリブのパッケージ

恥ずかしくないデザインで潜在顧客へアプローチ

GRAPHが提案したことは、大きく二つ。一つは、メインターゲットを男性ではなく女性に変更すること。もう一つは、お酒をたしなむ機会が多い経営者や著名人が集まる場所でサンプリングを行い、口コミで認知を高めることだ。

メインターゲットの変更を提案したのは、ある会食の席で「大酒飲みと思われるのは恥ずかしい」と感じる女性が少なくないと知ったからだ。そんな女性たちにとっては、アルコール対策サプリメントの購入自体、ためらっている可能性もある。そこで、女性が人前でも堂々と飲めるようなパッケージデザインにすることで、競合との差異化にもなり、新規顧客も獲得できると考えた。

完成したパッケージは、外国製のお菓子や高級ブランドの化粧品のようなデザインで、一見すると中身が何か分からない。それにも関わらず、新規顧客を次々と獲得できているのは、なぜか。それは、スパリブの効果を実感して愛用している人たちが、口コミで広げてくれているからだ。

その後押しとなったのが、サンプリングによるプロモーション。GRAPHもサンプリングに協力し、経営者向けの講演会や会合、著名人が集まる飲食店などでサンプリングを実施した。

先発商品との違いを認知させる、脳の仕組みも考慮

アルコール対策サプリメントらしくないデザインは、「内部モデル」という脳の仕組みを踏まえたアイデアでもあった。最新の脳神経科学によると「外部からの情報は、過去の記憶と照らし合わせて既知のものや類似したものは反射的に排除する」と言われている。

要するに、市場で既にシェアを獲得している競合商品と似たデザインにすることは、類似商品の株が上がるだけなのだ。記憶に残すためにも、競合とは違ったデザインが必要だと考えた。

また、非常にシンプルなデザインではあるが、知的財産を守るための工夫も施されている。それが、10粒入りと20粒入りのパッケージに細いラインであしらった金の箔押しだ。大量生産するパッケージで、この加工を美しく完成させるのは容易ではない。まねされにくくすることで、知的財産を守るという考えだ。印刷・加工のディレクションもGRAPHが担当している。

編集・執筆:西山薫(デザインライター)